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JR東海、山梨リニア実験線の走行試験を公開 – L0系で500km/h体験
JR東海は3日、報道関係者向けに山梨リニア実験線での走行試験を公開し、L0系への体験乗車を実施した。山梨リニア実験線では2019年冬以降、改良型試験車の走行試験開始に向けた準備のため、走行試験・体験乗車の休止を予定している。【写真】L0系の車内山梨リニア実験線は現在、山梨県内の笛吹市境川町を起点に、上野原市秋山の終点まで、全長42.8km(トンネル区間約35.1km、明かり区間約7.7km)の区間で実験を行っている。2013年8月から営業線仕様のL0系を使用した走行試験が始まり、2014年11月から「超電導リニア体験乗車」が毎年実施されてきた。
この日は山梨県都留市の山梨リニア実験センターにて、リニア中央新幹線計画の進捗状況や走行試験の概要などの説明を行った後、センター内の乗降口からL0系に乗車し、超電導リニアの高速走行を体験。同センターから上野原市の終点まで最高速度350km/hで走った後、笛吹市の起点までほぼ1往復した。タイヤ走行から浮上走行への切替えはスムーズに行われ、その後も速度を上げ、最高速度500km/hに到達。約2分間にわたり500km/hで走行した後、徐々に減速した。
浮上走行からタイヤ走行に切り替わる際、着地による揺れはあるものの、それ以外は普段乗っている東海道新幹線と大差ない乗り心地のように感じられた。約25分間の体験乗車を終え、山梨リニア実験センターに戻る途中、「本日はご搭乗いただき、ありがとうございました」との車内アナウンスも聞くことができた。
■「超電導リニア体験乗車」約11万人が乗車、今秋で休止に
体験乗車に先立ち行われた概要説明では、JR東海執行役員中央新幹線推進本部の副本部長、生田元氏がリニア中央新幹線計画の進捗状況について紹介した。2027年開業予定とされていた品川~名古屋間に関して、「すでにかなりの範囲で計画が進んでいる状況。工期が長期にわたり、かつ難易度の高い工区から工事に着手しています。具体的には品川・名古屋の両ターミナルと南アルプストンネル、都市部の本線トンネルを掘削する際にシールドマシンの発進基地となる非常口などから建設を進めています」と生田副本部長は説明する。
中でも南アルプストンネルは、トンネル延長が約25km、地表からトンネルまでの深さ(土被り)が最大で約1,400mとされ、難工事が予想されたことから「山梨・静岡・長野の3工区に分けて工事を進めています」。3工区とも工事契約を締結しており、山梨・長野の2工区では斜坑などの掘削を進めているという。生田副本部長は残る静岡工区について、「この工区は大井川の水に関する問題があり、いまだ準備工事の段階。県から次の段階の工事に進む同意が得られていません。このままでは、これまでの遅れ等を取り戻すことが難しくなりつつあり、さらにこの状態が続けば、開業時期に影響を及ぼしかねないという懸念を持っているところです」と述べた。
超電導リニアと走行実験については、JR東海執行役員山梨実験センター所長の波多野穣氏が説明を行った。山梨リニア実験線は最大12両編成まで走行可能だが、現在は5両編成および7両編成で試験を行っているという。「山梨リニア実験線での累計走行距離は約307万km。超電導リニアの体験乗車も行っており、これまでにのべ約11万人のお客様が乗車されました。この秋も2日間の実施を計画していますが、これをひとつの区切りとして、しばらくお休みする予定です」と波多野所長は話していた。
「超電導リニア体験乗車」はこの秋、10月15・16日に実施予定(募集期間は終了)。山梨リニア実験線では今後、L0系をさらにブラッシュアップさせた改良型試験車の走行試験開始に向けた準備を行うため、2019年冬から2020年春まで走行試験・体験乗車は休止に。改良型試験車は先頭車1両・中間車1両を製作し、2020年春の完成(予定)後、既存のL0系と組み合わせて走行試験を行う予定。改良型試験車が投入される2020年春以降も、走行試験に専念するため、体験乗車は引き続き休止するとのことだった。
なお、JR東海は「リニア中央新幹線サイト」にて、動画コンテンツ「リニアのある日本」を公開している。リニア中央新幹線のコンセプトムービーに加え、開業後の暮らしのイメージを描いたショートムービーシリーズ「リニアのある日本」も制作。リニア中央新幹線の開業により、移動時間が劇的に短縮されることで、人々の暮らしや社会がどのように変化するかを描いた内容となっている。これらのコンテンツの他にも、特設サイトなどを通じ、リニア中央新幹線計画に関するさまざまな情報を公開していく。